「相馬さんは山田のこと嫌いですか!?」
「さあね」
「はぐらかさずに答えてください!」
山田は超真剣なんです。
「山田のこと好きですか!?」
「さあね。」
山田かしこいから分かります。
相馬さんは親に愛してもらえないかわいそうな子だったんですね。
だから、好きと言う感情が分からないんですね。
「かわいそうまさん!」
「なんで、そうなるの?」
相馬さんは、ため息をつきながらも頭をぽふぽふ撫でてくれます。
「どちらかと言うと好きなんじゃないかな?」
「ホントですか! 山田のこと好きですか!!」
山田超嬉しいです。
「山田も、相馬さんのこと大好きです!」
だから、
「だからお兄さんになってください!」
「断る。」
「ガガーン!」
何で其れに対しては即答なんですか!
「山田さんのお兄さんになるつもりは毛頭ない」
「なんで衝撃の告白を二度も言う必要があるんですか!」
相馬さんなんて、相馬さんなんて、
「山田のお兄ちゃんになってしまえばいいんだーっ!」
――◆――◆――
「ねえ佐藤くん? そんなに笑うと、轟さんについうっかり君が轟さんの事を好きなことを言っちゃうよ?」
「いや、すまん…」
そう言いながらもクツクツと肩を震わせ笑っている佐藤くんに苛立ちを覚える。
「それにしてもお兄さん…」
「実力行使って、嫌いなんだよねぇ」
物的証拠がどうしても残るから。
「まあ、ちょっと落ち着けよ」
まだ笑っている佐藤くん。
「まったくなんで山田は自分に向けられている感情に気が付かないんだろうな」
「其れは轟さんにも言えるからね、って痛い痛いよ佐藤くん!」
「好きだって事、気が付いてくれないかなぁ」
「山田、初めて知りました」
「山田さん!?」
「相馬さんが、山田のことそんなに思ってくれているなんて、山田初めて知りました」
「ねぇ、山田さん?」
「山田ひどい子! かわいそうまさん!」
「やーまーだーさーん?」
「っていうか佐藤くん、分かってたでしょ?」
「さあな」
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- あとがき
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ワグナリアでは最近相馬さんの脅しが効かなくなってきているそうな。
何もわかっていない山田さんも可愛い。