リリリリリとなるベルは目覚まし時計ではなく玄関の呼び鈴だ。
こんな早朝から誰が来たというのだろう。
「やあイギリス!」
ドアを閉めたくなった。
「相変わらず可愛い寝間着を着ているんだね」
「うるさい」
寝ぼけ眼、寝間着姿のままで外に出るのは得策ではなかったかと今更後悔する。
それでも来たものはとりあえず部屋に通そうとした。
「いや、今日は中でくつろいでいく余裕はないからここでいいんだぞ」
それにまずいスコーンは食べたくないし。
なんて。
本当にドアを開けなければ良かった。
「戦争に行くってことを言いに来ただけなんだ」
「ああ、そうか…」
知ってる、とは言いだせなかった。
「俺がいなくても淋しくなったりするなよ☆」
「誰がなるか!」
ぶち壊したが。
そんな、訳の分からないことを言いに来たのなら早く行けと言おうとしたとき。
アメリカが俺の肩を掴んだ。
「ちょっと聞いて」
「あ、ああ…」
「戦争だから、俺は死ぬかもしれない」
「アメリカ、お前が…?」
「だから、好きな人の為に今回は帰ってくる」
相変わらず意味が分からなかったが。
好きな人、アメリカは好きな人が居たんだ。
それだけは分かった。
「ああ、頑張ってこいよ」
「イギリス…」
アメリカは俺の手を取った。
何をするのかと思えば。
「ッ!!」
掌にキスが落ちてきた。
したことは何度もあるが、されるのは初めてだ。
しかも慈しむように。
「好きな人のために帰って来るよ。じゃあね」
何も言えなかった。
何も言わなかった。
ただただ胸が疼いた。
これが寂しいと言うのかもしれない。
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戦争ネタが多いというか、この間も戦争ネタだったというか。