7.大輪の花


花は咲く。
密に群がる虫によって繁殖し、
そして枯れる。

「ヅラァ」
「な、んだ…」
荒い息の中から吐き出すように言ってくる。
しかし、毅然と睨み返してくる双眸。
瞳の色は強く険しい。

それでも中を動かせばとろけそうに崩れる。
苦痛にゆがんでいるようにも見えるが、快感の色は隠しきれていない。
「なさけねーなァ」

両手を縛られて、両足はそれぞれ柱に結び付けられて。
身動きなど取れる訳が無い。
できることは快感と苦痛に喘ぎ声を上げる事だけ。
「貴様が、こう、したのだろうっ!」

それでも精一杯抵抗しているつもりか。
もう既に三回ほどその欲を吐き出しているのに。
「ヒクついてるぜ、ココ」
生理的な涙がにじんで、桂の瞳が揺れている。

「もうそろそろいいだろう?」
指でなぞると、あっさりと飲み込みそうなぐらいだった。
こうして、意味のないことを何度繰り返してきただろう。

「や、めろ…」
ああ、悪くない。
いつまでもそう言っていてくれ。

「ははっ」
短く笑って、貫いた。
「んぁあああっっ!」
撥ねる体。
何度目でも変わらない。
異物に壊れそうになって、よじって逃げて。
そのままでいい。

花はいつまでも蝶を受け入れまいと花弁を隠すようにその蕾を閉ざす。
花は咲く。
咲いたら、枯れて、おしまいだ。

咲いたら、子孫を残すために頑張って、
結果を残すために頑張って、力尽きて枯れていく。
だから、受け入れるな。
いつまでもそのままでいてくれれば、枯れることは無いはずだから。

手に入れたら枯れてしまうのだろう。
「い、やだ、ぁあ、ぅぁ」
狂気に犯されて。

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10/01
なんか花と蝶とを書きたかったんですけどね…。
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