つくるんだよ。
幸せな場所を。
種島さんは相変わらず小っちゃくて、
小鳥遊くんはそんな種島さんを愛でて今日も元気で、
伊波さんは今よりも暴力が可愛らしくなっていて、
山田さんはお皿を割るのは一日一枚までで、
店長はもう少し店の経営を考えられるようになっていて、
轟さんはそんな店長の事が大好きで、
そして
そんな轟さんが好きだった佐藤君は俺の事を大好きであればいい。
微睡みの中から、ただ一つのキスで浮遊する。
「おい、起きろ。相馬」
俺は王様で、
種島さんは騙されやすくて、
小鳥遊くんは代わりに働いてくれて、
伊波さんはもっといじられてくれて、
山田さんは賢くなっていて、
店長は働いて、
轟さんは天然じゃなくなって、
そして
佐藤君は俺を愛でていればいい。
目が醒めたらそこには佐藤君の顔と、いつも通りの佐藤君の部屋。
「おかしいな、王様だった筈なのに」
「なに寝ぼけたこと言ってんだ」
うっすらと開いた瞼から光が瞳に差し込んでくる。
脳が活動し始めるのが分かる。
「だってキスで目覚めたら、お姫様じゃないか」
「なんだよ、姫って言ってほしいのか?」
いやだって、
ここは俺が作った、最高に居心地のいい俺の城なのに。
主が王じゃなくて姫だなんて。
佐藤君が俺を愛でてくれる幸せな空間だから、
まあそれ以外のことなんてどうでもいいのだけど。
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ちょっと病んじゃった相馬さんが可愛い。