1.王の城


つくるんだよ。
幸せな場所を。

種島さんは相変わらず小っちゃくて、
小鳥遊くんはそんな種島さんを愛でて今日も元気で、
伊波さんは今よりも暴力が可愛らしくなっていて、
山田さんはお皿を割るのは一日一枚までで、
店長はもう少し店の経営を考えられるようになっていて、
轟さんはそんな店長の事が大好きで、
そして
そんな轟さんが好きだった佐藤君は俺の事を大好きであればいい。

微睡みの中から、ただ一つのキスで浮遊する。
「おい、起きろ。相馬」

俺は王様で、
種島さんは騙されやすくて、
小鳥遊くんは代わりに働いてくれて、
伊波さんはもっといじられてくれて、
山田さんは賢くなっていて、
店長は働いて、
轟さんは天然じゃなくなって、
そして
佐藤君は俺を愛でていればいい。

目が醒めたらそこには佐藤君の顔と、いつも通りの佐藤君の部屋。
「おかしいな、王様だった筈なのに」
「なに寝ぼけたこと言ってんだ」

うっすらと開いた瞼から光が瞳に差し込んでくる。
脳が活動し始めるのが分かる。

「だってキスで目覚めたら、お姫様じゃないか」
「なんだよ、姫って言ってほしいのか?」

いやだって、
ここは俺が作った、最高に居心地のいい俺の城なのに。
主が王じゃなくて姫だなんて。

佐藤君が俺を愛でてくれる幸せな空間だから、
まあそれ以外のことなんてどうでもいいのだけど。

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ちょっと病んじゃった相馬さんが可愛い。
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